MCA、通建工事市場の動向に関する調査結果を発表

移動体通信・IT分野専門の調査会社である株式会社 MCA(https://www.mca.co.jp/)は、通信建設工事市場の調査を実施し、その結果を2月17日に発表しました。調査結果の要点は以下の通りです。

  • 全国系による地場系通建業者の経営統合がエリア支配力に影響
  • 地場系統合で全国系大手3グループのシェアは80%に急拡大
  • 抑制傾向を脱した設備投資 拡大するモバイル系通建投資

本調査結果については、調査レポート「通信建設業者便覧 2020」(本体価格200,000円)として発刊しています。

■調査結果抄録

□全国系による地場系通建業者の経営統合がエリア支配力に影響

全国系大手3グループによる地場系通建業者の統合が進んだ。コムシスホールディングスが2018年10月にNDSや北陸電話工事、SYSKENを、協和エクシオも同時期にシーキューブや日本電通、西部電気工業を吸収している。ミライト・ホールディングスも2018年10月にTTK、2019年1月にはソルコムと四国通建を吸収し、地場系通建業者すべてが全国系3グループに傘下入りした。

地場系通建業者の経営統合により、全国系大手3グループはエリアの強みが期待できる。東名阪に関して、関東はいうまでもなく、3グループの本拠地があり、3グループ拮抗の様相である。関西はミライトグループのミライト・テクノロジーズの本拠地であり、日本電通を吸収した協和エクシオの展開に注目が集まる。東海はコムシスHDがNDS、協和エクシオはシーキューブを吸収しており、2グループの力が強まる可能性が高い。

その他のエリアに関しては、ミライトHDが東北のTTK、中国のソルコム、四国の四国通建を吸収し、エリアの支配力を強めている。九州はコムシスHDがSYSKEN、協和エクシオは西部電気工業を吸収し、支配力が強まる見込みである。

図:全国系通建業者における地場系集約後の勢力図

□地場系統合で全国系大手3グループのシェアは80%に急拡大

全国系による地場系通建業者の統合がシェアに大きな変動を与えている。大手通建業者45社における通信事業者向け通信建設工事の売上高を合算した結果、2018年度は1兆234億円の通建工事市場規模になった。統合前、全国系大手3グループのシェアは60%に過ぎなかったが、それぞれ7~8%のシェアが追加され、統合後のシェアは80%にまで高まっている。

統合前も最大手はコムシスホールディングスであるが、協和エクシオやミライト・ホールディングスとのシェアは僅差であった。統合後もシェア差に大きな変動がなかったため、絶妙な振り分けであったといえる。

なお、元々、地場系通建業者はNTT工事が多く、これらを吸収した全国系大手3グループはNTT工事が強化される。しかし、今後、増加が見込まれる5G基地局工事への対応が課題とされ、地場系通建業者のモバイル系工事対応がカギとなる。

図:通信事業者向け通建工事市場(2016年度)

図:通信事業者向け通建工事市場(2018年度)

□抑制傾向を脱した設備投資 拡大するモバイル系通建投資
近年、通信事業者グループ各社の設備投資額は抑制傾向にあったが、2018年度は前年度比3.7%増となる2兆3,279億円になり、抑制を脱した格好である。内訳はNTTグループが1兆2,087億円、KDDIグループは6,018億円、ソフトバンクグループが4,094億円、楽天グループは25億円、電力系通信事業者各社が1,055億円である。

一方、通信建設(通建)投資は通信事業者各社の設備投資額から工事費を抽出したもので、2018年度は固定系(アクセス)が2,944億円、固定系(ネットワーク)は2,572億円、モバイル系が2,474億円の合計7,990億円と推定した。通信事業者グループ各社の設備投資額が2兆3,279億円であるため、通建投資は総額の34.3%を占めている。

今後は5Gサービスの開始が見込まれるが、既存グループ各社の投資額は横ばい傾向とみている。ただ、新規参入する楽天モバイルの投資本格化により、投資総額は微増が見込まれる。通建投資に関しては、2020年度の5G商用化以降にモバイル系通建投資が拡大する影響から、全体の通建投資を押し上げる形となる。

図:事業者グループ各社の設備投資額予測推移(2017~2022年度、MCA推定)

図:事業者各社における通建投資の予測推移(2017~2022年度、MCA推定)

[2020年4月1日]
当初掲載内容の一部(文章および画像)に誤りがありました。お詫び申し上げます。
なお、現在は修正済みとなっております。


■調査レポート「通信建設業者便覧 2020」~固定・移動体通信建設市場を通信事業者と通信建設業者の両面から把握~
発行日:2020年2月
判型:PDFファイル(A4版134頁)
発行・販売:株式会社 MCA
頒価:200,000円(税別)
調査期間:2019年9月~2020年1月
販売方法:pdfファイルのダウンロード及びA4コピー刷り製本
申込方法:オンライン注文
※調査レポートの目次など詳細は「レポート目次」をご参照ください。


■本件リリースに関するお問い合わせ
株式会社 MCA(MCA Inc.)
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