移動体通信・IT 分野専門の調査会社である株式会社 MCA(https://www.mca.co.jp/)は、携帯電話基地局及び周辺部材に関する市場動向調査を実施し、その結果をとりまとめました。調査結果の要点は以下の通りです。

・キャリア各社の設備投資額合計:1兆6,810億円(2013年度推定)
・無線機市場:2,601億円(2013年度推定)
・附帯設備市場(アンテナや蓄電池など):527億円(2013年度推定)
・エンジニアリング市場:4,360億円(2013年度推定)
・2017年度に設備投資額合計は1兆2,785億円へ縮小と予測

本調査結果については、調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2014年版」(本体価格200,000円)として発刊しています。

■調査結果抄録

2013年度の約1.7兆円が2017年度に1.3兆円へ縮小
2013年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが7,000億円、KDDI(au)は3,800億円、ソフトバンクモバイルが5,320億円、イー・アクセス(イー・モバイル)は160億円、UQコミュニケーションズが295億円、Wireless City Planningは235億円と推定した。

2012年度は合計1兆7,562億円が投下されたが、2013年度は1兆6,810億円となり、LTEエリアの拡大も一息ついた印象である。

今後、キャリア各社は投資額を縮小させていく見込みで、NTTドコモは中期的に7,000億円を下回る水準で推移し、KDDI(au)も3,000億円台に抑えていく方向にある。特にソフトバンクモバイルは2014年度以降、大幅に投資額を絞っていく見込みで、2017年度には3,000億円を下回る投資額が想定される。

なお、2013年度における無線機市場は2,601億円、アンテナや蓄電池などの附帯設備市場が527億円、エンジニアリング市場は4,360億円と推定した。

【図:設備投資額の推移と予測(2012~2017年度)】

利用可能な周波数帯はSBグループよりもDCMとKDDIグループが有利
キャリア6社における周波数帯保有状況はソフトバンクグループが合計170MHz幅と最も多く、NTTドコモとKDDIグループも合計160MHz幅を保有している。

【図:キャリア6社の現状の周波数帯保有状況(太枠はNTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクグループを表す)】

実際に利用可能な周波数帯ではNTTドコモとKDDIグループが合計140MHz幅であるのに対し、ソフトバンクグループは合計120MHz幅と差が出ている。その内訳として、ソフトバンクグループは700MHz帯10MHz幅×2、900MHz帯10MHz幅×2、2.5GHz帯20MHz幅の合計50MHz幅が現在は利用できない。

【図:キャリア6社の現状の利用可能な周波数帯(太枠はNTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクグループを表す)】

■調査概要

NTTドコモが2013年9月に「iPhone 5s」「iPhone 5c」を投入し、国内市場初のキャリア3社による同一端末の取り扱いが開始された。それに伴い、ユーザのキャリア選択ポイントは料金以外に、よりLTEエリアの完成度にも目が向けられることになった。

LTEエリア競争に拍車がかかる中、これまでエリアに強みを持っていたNTTドコモが他キャリアからの攻勢を受けている。主に高トラフィックエリアを中心にLTEエリアを構築してきたNTTドコモと、一気にLTEカバレッジを拡大させたKDDI(au)とソフトバンクモバイル。各社のエリア戦略の違いが如実に表れる結果となった。

劣勢となったNTTドコモであるが、LTEサービスに1.5G/1.7GHz帯を転用させることで他キャリアへの対抗策を打ち出している。今後、NTTドコモはLTEカバレッジとスピード以外に、安定したネットワーク運用も重要な要素になるものと考え、他キャリアとのLTEエリア競争に備える。

一方、基地局市場を取り巻く無線機や部材ベンダは基地局新設から併設、マクロからスモールセルへの移行に向けた対応が求められている。引き続き、キャリアからのコスト削減要求にも終わりがなく、さらにはLTE-AdvancedやVoLTEなど新技術への対応が望まれる。

また、エンジニアリング会社は工事件数が堅調に推移するも作業簡略化による工事単価下落が進む。マルチタスク化も叫ばれ、エリア調整やセンタ設備など基地局工事以外の通信工事への対応も課題となる。

本調査企画は、基地局及び周辺部材市場の現状やキャリアのインフラ戦略について、キャリアやベンダ、エンジニアリング会社などへの多面的な取材を通じ、実態を把握し、予測することを目的としている。具体的には、キャリアのインフラ戦略及び投資動向に加え、無線機やアンテナ&ケーブル、蓄電池など周辺部材市場の実態を明らかにする。

また、2017年度までの基地局や周辺部材市場を予測については、700M/900MHz帯やLTE-Advancedなどの技術動向を踏まえながら、今後のキャリアのインフラ戦略を多角的に分析することで、精査していくものである。

調査概要の詳細などは、PDF版のニュースリリースもあわせてご覧下さい。


■本件リリースに関するお問い合わせ
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担当:大門 太郎(だいもん たろう)
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